ボケ × f値 × 焦点距離・どんな関係?・理論編
皆さんがご存じのようにf値が低ければ低いほどボケが強くなる傾向があります。
しかし、焦点距離が長ければ長いほどボケを作りやすくなるとの噂も耳にしたことがあります。それを理論上で検証するためにDepth of fieldの視点からボケとf値と焦点距離の関係を確かめていきたいと思います。
Depth of field - Wikipedia より下記の式が記載されています。
- u: 被写体距離
- N: f値
(なんでN?) - f: 焦点距離
- c: circle of confusion
(なにこれ?confusion(混乱)を招くでしょう)
Depth of fieldを日本語にすると「被写界深度」になります。深度が深ければピントのあった範囲が広くなりボケが薄くなり、深度が浅ければピントのあった範囲が狭くなりボケが濃くなります。つまり、ボケを強くするには被写体深度を低くすることが必要です。
Circle of confusion (混乱の輪?)についてまだはっきり解明していませんが、Wikiの記述によるとセンサーサイズに依存します。Wikiより下記の記事では35㎜センサ(フルサイズ)ならとりあえず0.025mmの値にすると書かれている(っぽい)ようです。
For 35 mm motion pictures, the image area on the film is roughly 22 mm by 16 mm. The limit of tolerable error was traditionally set at 0.05 mm (0.0020 in) diameter, while for 16 mm film, where the size is about half as large, the tolerance is stricter, 0.025 mm (0.00098 in).[15] More modern practice for 35 mm productions set the circle of confusion limit at 0.025 mm (0.00098 in).[16]
これで式の中の変数が分かるようになったので、早速シミュレーションをやっていきましょう。
手元にある50mm、85mm、120mmのレンズの焦点距離をベースにして関係を表すグラフを作りたいと思います。
視野を維持するため 焦点距離を変更することに応じてカメラと被写体の距離を調整する必要があります。被写体距離と焦点距離は基本的に下記の絵のように等倍増加です。
焦点距離120㎜/被写体距離4mを基準にして85mm、50mmの被写体距離を算出して下記の設定になります。
- 焦点距離:120mm/被写体距離:4.0m
- 焦点距離:85mm/被写体距離:2.83m
- 焦点距離:50mm/被写体距離:1.67m
そしてエクセルで計算し下記のグラフになります。
(横軸はf値、縦軸は被写界深度)
予想通り f値が上がると被写界深度が上がり、ボケが薄くなる傾向があります。
しかし、焦点距離に合わせて被写体距離を調整した結果、焦点距離を変えてもf値が同じである限り被写界深度が変わりません(=ボケが変わりません)。
しかし、焦点距離に合わせて被写体距離を調整した結果、焦点距離を変えてもf値が同じである限り被写界深度が変わりません(=ボケが変わりません)。
被写体距離を(2mに)固定にして焦点距離だけ変えたらどうなるかを検証してみましょう。
同じ手順で計算して下記のグラフになります。
同じ手順で計算して下記のグラフになります。
被写体距離を変えずに焦点距離を伸ばすとボケが強くなることが見られます。
しかし、このやり方だと現実ではないと思います。被写体距離を変えずに焦点距離を延ばすと。。。
↓これが…
これ↓
になります。
最後に
同じ視野を得るため焦点距離を変えてもボケの強度が変わりません。人物撮影時にレンズを50mmから85mmに変えるのは被写体との距離を取りたいためだと考えられます。もちろん画角、ボケの質、ボケの形などは焦点距離の変化やレンズの変更によって変わりますが、それらは今回の範疇ではありません。50mmより85mmのレンズを使った方がモデルさんと緊迫感のない距離が取れるため、85mmレンズは人物撮影に適していると言われています。
以上は理論上で得られた結論なので、現実には適用しない場合は少なくありません。推論は参考にできるかもしれませんが、レンズを選ぶ際に実際に使ってみた方が良いです。先輩たちの経験も大切で理論より実用できる場合が多くありますが、焦点距離とf値とボケの関係に気になる方はこの推論を参考にしていただければ嬉しいです。






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